サロン関連法規

アーユルヴェーダサロン関連法規

1.医事法について
医事法は、医療に関する医療法および医師に関する医師法などを中心とした医療に関する法の総称です。 日本では人体を侵襲する治療行為は、医師免許を持つ医師または医師の指示を受けた看護師以外が行ってはならないことになっています。また資格を持つ救急救命士も、定められた救急医療措置を行うことができます。そのほか、鍼灸師による鍼治療や施灸も認められていますが、これらはすべて資格による免許制が適用されています。
アーユルヴェーダのトリートメントに関係する直接的な法規は現在のところ施行されていません。しかし、医療に近い行為となる可能性もあることから、アーユルヴェーダトリートメントをおこなう際にさまざまな法律の規制についてある程度の知識をもっておかなければならないと考えます。基本的にマッサージという行為をおこなうためには免許が必要となります。が、エステなど美容に関する業務や整体などでは厚生労働省は黙認している、というのが現状です。

医療に関わる関連法規として、医師法、薬事法、医療法、医業類似行為者に関する法律、(按摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師等に関するもの)、健康増進法、風俗営業法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法などがあげられますが、ここでは、医師法やあん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師等に関する法律、薬事法などから最低限必要と思われる項目をピックアップしました。

2.業務関連
医療行為(医行為)とは、人の傷病の治療・診断又は予防のために、医学に基づいて行われる行為です。体にメスを入れたり、エックス線を照射したりするように、他者の身体を傷つけたり体内に接触したりするような医療侵襲行為は、これが正当な業務でなければ傷害罪や暴行罪に該当する違法性がありますので、正当な医療行為と認められることが必要です。医療に従事する者には資格が必要であり、その者によって行われる医療行為には、ときに患者にとって不利益な事態をまねく恐れが大きいものもあるので、相応の知識と医療倫が要求されるのです。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術は医業類似行為と呼ばれています。これも広義の医療行為です。医師のみが行える医業(歯科医師が歯科医業をここでは含む)とは、医行為を業として反復継続的に行うことであり、医行為のうちの一部は他の有資格者(看護師等)にも認められています。このほか、調剤を行う薬局も医療法で医療提供施設と定められていることから、薬剤師の調剤も医療行為に該当します。 これら資格をもつ人が行う治療とは、特に患者の病態を改善し、健康にするため施す医療行為であるとされています。

〔医師法〕
第4章(業務)
第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
【解釈】
 医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うこと。

第18条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
第6章(罰則)
第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1.第17条の規定に違反した者
2.虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者《改正》平13法087
前項第1号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

〔薬事法〕
第1章(総則)
(目的)
第1条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

1.日本薬局方に収められている物
2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という)でないもの(医薬部外品を除く)
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く)

この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げることが目的とされており、かつ、人体に対する作用が緩和なものであつて機械器具等でないもの及びこれらに準ずる物で厚生労働大臣の指定するものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、前項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物を除く。

1.吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
2.あせも、ただれ等の防止
3.脱毛の防止、育毛又は除毛
4.人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。以下同じ)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く)、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。

〔医療法〕
第1章 総則
第一条
 この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。

第一条の二
 医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。
医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という)、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能(以下「医療機能」という)に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

〔あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師等に関する法律〕
第一条
 医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という)を受けなければならない。
第二条
 免許は、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項 の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項 の規定により当該大学に入学させた者を含む)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣の認定した養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マッサージ指圧師試験、はり師試験又はきゆう師試験(以下「試験」という)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。

「業」とは
報酬の有無、回数の多少にかかわらず、あん摩・マッサージ・指圧などの行為を反復継続の意思をもって行うこと。

欠格事項について
医師法、あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師などの法令に以下の欠格事項が適用される。
2章第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
1.心身の障害により医師(あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゆう師)の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
2.麻薬、大麻又は阿片の中毒者
3.罰金以上の刑に処せられた者
4.前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

3.広告関連
〔薬事法に基づく広告規定〕
第8章 医薬品等の広告
(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

(特定疾病用の医薬品の広告の制限)
第67条 政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、政令で、医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。

厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

(承認前の医薬品等の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第1項又は第23条の2第1項に規定する医薬品又は医療機器であって、まだ第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定による承認又は第23条の2第1項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
第14条第1項(医薬品等の製造販売の承認) 
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品及び第23条の2第1項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く)、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品又は医療機器(一般医療機器及び同項の規定により指定する管理医療機器を除く)の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

第23条の2第1項(指定管理医療機器等の製造販売の認証) 
厚生労働大臣が基準を定めて指定する管理医療機器又は体外診断用医薬品(以下この章において「指定管理医療機器等」という)の製造販売をしようとする者又は外国において本邦に輸出される指定管理医療機器等の製造等をする者(以下この章において「外国指定管理医療機器製造等事業者」という)であつて次条第1項の規定により選任した製造販売業者に指定管理医療機器等の製造販売をさせようとするものは、厚生労働省令で定めるところにより、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録認証機関」という)の認証を受けなければならない。

第19条の2第1項(外国製造医薬品等の製造販売の承認) 
厚生労働大臣は、第14条第1項に規定する医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器であって本邦に輸出されるものにつき、外国においてその製造等をする者から申請があつたときは、品目ごとに、その者が第3項の規定により選任した医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造販売業者に製造販売をさせることについての承認を与えることができる。

〔あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師等に関する法律に基づく広告規定〕
第七条
 あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。

一  施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
二  第一条に規定する業務の種類
三  施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四  施術日又は施術時間
五  その他厚生労働大臣が指定する事項
前項第一号乃至第三号に掲げる事項について広告をする場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない。

4.守秘義務
〔あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師等に関する法律に基づく広告規定〕
第七条の二  施術者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。施術者でなくなった後においても、同様とする。

〔その他の法律〕
健康増進法、風俗営業法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法などにもサロン営業に関係する条項が見られますが、直接的な関係は少ないのでその内容に関してはとくに記載しません。興味のある方は、調べてみてください。