アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダはサンスクリット語で、「アーユス(生命)のヴェーダ(科学、真理)」、つまり「生命の科学」という意味です。代表的なアーユルヴェーダの古典書である「チャラカ・サンヒター(AD1世紀)」の総論には、「アーユルヴェーダとは、幸福で有益な長寿のための知識」と記述されています。同書によれば、アーユルヴェーダが人生で探求すべきことは、①生命の探求(健康の維持増進、病気の治療)、②富の探求、③来世の探求(死生観の確立)の三つです。西洋医学が病気の治療に専念するあまり人の幸福を忘れがちな現代において、人の幸福や死生観の確立も目指すアーユルヴェーダの智慧が求められています。
広義においてアーユルヴェーダは、インドの伝統医学だけでなく、スリランカから中国、日本の伝統医学、さらには現代医学までも含んでいます。また、アーユルヴェーダは医療や医学にとどまらず、創造・維持・破壊が輪廻する宇宙観や生命観を含む、最新の理論物理学的にも合理的な哲学理論を包含した壮大な生命の科学です。
このようにアーユルヴェーダは、ホリスティックな「幸福な生を送るための生死の智慧」です。アーユルヴェーダ協会は、この広義のアーユルヴェーダに基づき、日本の医療、福祉、教育、経済などの問題を解決するために活動しています。
アーユルヴェーダ トピックス
2020年10月1日
古代インドの叡智が人類に幸福をもたらす
医療を超えた生命の科学アーユルヴェーダ
(第42回日本アーユルヴェーダ学会大阪研究総会 抄録集より)
NPO法人日本アーユルヴェーダ協会 理事長
近年、平均寿命は、世界的にも延長してきています。百寿者も、日本では2018年で7万人にも逃しています。医療や医学が、死や病気を避ける方策を追及してきた結果だと思われます。しかし、平均寿命と健康寿命との差は、2016年の日本では、女性で平均12年、男性で平均9年以上であり、死ぬまでの病む期間は長いものになっています。その中で、死をタブー視し、単に長生きをすることを求める医学や医療は、見直しが迫られています。そこに、我々が、温故知新の智慧である古代インドの生命の科学アーユルヴェーダに注目している理由があります。
アーユルヴェーダの健康観では、肉体的な健康だけでなく、幸福感や至福感を重視しているからです。幸福であることを目指すものがアーユルヴェーダだとも言えます。そして、健幸の維持・増進と病気の治療を目指すことがアーユルヴェーダの目的とされてきました。しかし、チャカラ・サンヒターなどの記載を見ると、死に関する条項も多くあります。その中には、輪廻転生の死生観に基づいた記述があり、ヒンドウー教や仏教のものにもなっている輪廻転生(サンサーラ)が説かれています。アーユルヴェーダの古典には、実は、健幸の維持増進や病気の治療法が記載されているだけでなく、死生観についても記述されているのです。
西欧の研究においても、近年のバージニア大学などでは、「前世を記憶する子供たち」などの著書が出され、その死生観の研究で「生まれ変わり」を借じる人では、QOLが高くなり、死の恐怖感も少なくなることが報告されています。仏教でも、人々を救うには、病気や不幸だけでなく、死の恐怖への対処が必要だと考えられています。実際、経済産業省の、「多死社会における産業振興のあり方に関する一試案(藤和彦氏)」や人生会議(厚労省)においても、死生観の涵養が重視され、「終末期ケア」の必要性が検討されています。特にコロナ禍において死が身近になり、正しい死生観の涵養は、現実的になってきました。
今こそ、Back to the Future(温故知新)の考え方に従って、古代インドの生死の智慧を研究することは、人類に幸福をもたらすと思われます。そのような、「幸福を生きる生死の智慧」を学ぶ場所の一つとして、我々は、江戸時代の日本が世界に誇る教育インフラであった寺子屋などが適しているのではないかと考え、「寺子屋シャーラ」活動を展開しています。
2012年7月27日
アーユルヴェーダの「ハーブ医学」(ドラヴィヤグナ)
帝京平成大学、東洋医学研究所 教授、医学博士 上馬塲 和夫
2011年5月23日
報告1:アーユルヴェーダ ハーブのもつ威力!
「アムラ果実抽出物は、スイス・アルビノ系マウス脳の放射能による生化学的損傷から保護する」
5Gy γ線照射により、アムラ抽出物を経口投与したスイス・アルビノ系マウス脳における酵素活性及び生化学的活性の変化がどのようになるかを調査した。照射群では血清酸性ホスファターゼ活性値が、非照射群に比べ有意に高値を示した。しかし、照射前にアムラを経口投与した群では、投与してない群に比べ、すべての動物において、血清酸性ホスファターゼ活性が有意に抑制され、投与から20日目までには正常値に回復した。血清アルカリホスファターゼ活性は照射両群において著しい低下を示したが、アムラ投与群では蛋白およびコレステロールレベルの上昇が観察された。さらに、アムラ投与により、脳における脂質過酸化が抑制され、グルタチオンレベル(抗酸化機能指標)は高値を維持した。
Inder S, Abhilasha S, Archana J, Dhanraj S, PK G. Fruit extract of emblica officinalis (amla) protects radiation induced biochemical lesions in the brain of swiss albino mice. Annals of Neurosciences, Vol 13, No 3 (2006)
引用論文