製品に関わる法制度とは
アーユルヴェーダ製品にかかわる法制度
1)はじめに
【アーユルヴェーダ製品の現状】
アーユルヴェーダで使用する商品は、インドやスリランカと日本の気候の違いから現地でしか手に入らない原料も多く、また、現時点ではアーユルヴェーダが日本においては普及の途上に有る事から、日本で作られていない商品が多いため、主に海外からの輸入品を使用しているのが現状です。 そのためアーユルヴェーダを習得した人が、日本国内において実践する為に、使用する製品を海外で買い付け、そのまま日本にハンドキャリーした物を施術に使用したり、販売しているケースが考えられます。 この様な場合は、あくまで自己責任において、自分自身で使用すること以外、他の人に配ったり、使用したり、販売する事は法令で認められていません。
海外の製品を取り扱う場合は、国内の法規に違反する成分が使用されていないか、農薬、ヒ素、重金属、細菌、などの検査を行い基準値を超える有害物質が混入していないかなど、安全性の確認と日本の法令に基づく正規の輸入手続を経ることが必要です。 そこで、皆さんがサロンで使用するオイルやハーブ、お客様に販売する商品についての各種関連法規についての概要をわかりやすくお伝えします。
2)商品を製造販売するには
ここでは、アーユルヴェーダ製品に必要と思われる部分のみ記載しています。 医薬部外品については、省略しています。
①化粧品に関する法規
薬事法(昭和35年法律145号)とは、日本国内における医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関する運用などを定めた法律です。 上記の製品を輸入、製造、販売する場合においては、この法規に基づき規制されます。 薬事法では、化粧品について、以下のように定義しています。
「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」としています。 身体を清潔にするための石けんや歯みがき、シャンプー・リンスなども薬事法上の化粧品に該当しますので、ご注意ください。また、アロマオイル(精油)や植物オイルなどについても、肌に塗布することを目的に販売・使用する場合は、薬事法上の化粧品にあたります。
(ただし、アロマオイル、エッセンシャルオイル、アロマキャンドル、香などのうち、薬事法上、上記に分類されない、雑貨の場合については除く。)
【化粧品を製造、販売するには】
化粧品の製造、輸入、販売などを行うには、薬事法に基づく許可(「化粧品製造業許可」「化粧品製造販売業許可」)が必要です。衛生的で安全な化粧品を提供するために、資格者の設置や試験検査設備を持つことなど一定の基準が設けられています。 許可は、5年毎の更新制になっているため、その期間内に薬事監視員が定期的に立入調査を行い、設備や管理状況を確認します。 また、製品を製造販売する際には、あらかじめ製品ごとに「製造販売届書」を、製造販売業許可所在地の都道府県に届出しなければなりません。 ※「製造業許可」とは、製品の製造を行うための製造所ごとの許可ですので、 この許可では製品を市場に出荷することができません。
※「製造販売業許可」とは、製品を市場に出荷(卸売業者や消費者に販売・賃貸・授与) するための許可ですので、この許可では製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含 む)することはできません。
上記2種類の許可は、違う会社が取得することもできますが、化粧品の直接の容器等には「化粧品製造販売業者」の氏名を記載しなければなりません。 皆さんが自社のオリジナル商品を製造し、販売するには、上記のように製造販売業の許可を申請・取得する場合と、既に製造販売業の許可を取得している会社に委託して制作してもらう場合があります。
【化粧品表示に関する法規ついて】(薬事法 第七章 第四節 第六十一条)
製品化した化粧品の表示は、「薬事法」により表示方法が決まっています。また、薬事法とは別に、「容器包装リサイクル法」や「公正競争規約」により要求されている事項がありますので、ご注意ください。
例)種類別名称。販売名。内容量。原産国。製造販売業者の氏名又は名称及び住所。成分名称(配合量の多い順に記載)。問い合わせ先。など ※製品の容器特性、容量、使用用途によって省略できる場合があります。確認が必要です。
【化粧品の広告に関する法規について】
化粧品の効果効能表現については、昭和36年2月8日薬発第44号薬務局長通知「薬事法の施行について」記「第1」の「3」の「(3)」(平成13年4月1日から実施)の定める範囲を超えないようにしなければなりません。
※商品に関連するチラシ、ホームページ、記事広告などの表現もすべて「薬事法」の規制となります。
②食品(健康食品、ハーブティーなど)に関連する法規
食品の製造、加工など主に関係する法規は、食品衛生法です。
★「食品衛生法」とは
食品衛生法(昭和22年法律第233号)とは、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律です。所管は厚生労働省。食品と添加物と器具容器の規格・表示・検査などの原則を定めています。
2003年に改正された現行の食品衛生法の目的は、「食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ること」にある(1条 抜粋)。
★「食品安全基本法」とは
食品安全基本法(平成15年法律第48号)とは、食品の安全性の確保に関し、基本理念を定めるとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進することを目的とした法律である。また、内閣府食品安全委員会の設置根拠法令である。
★「食品」とは (食品衛生法 第4条 抜粋)
「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法 (昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」としています。
★「健康食品」とは
健康食品と呼ばれるものについては、はっきりとした法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しています。現在、このいわゆる健康食品に関する単独の法律はなく、主に食品衛生法、健康増進法、薬事法などにより規制をうけています。 健康食品のうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
医薬品 | 食品 | ||
医薬品 (医薬部外品を含む) (個別承認型) | 特定保健用食品 (個別許可型) | 栄養機能食品 (規格基準型) | 一般食品 (いわゆる健康食品を含む) |
保険機能食品 |
※保健機能食品は、いわゆる健康食品のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める表示の制度。国の許可等の有無や食品の目的、機能等の違いによって、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2つのカテゴリーに分類されます。 (厚生労働省HPより)
【健康食品の表示に関わる主な法律】
法律 | 概要と関連基準 |
食品衛生法 | 上記参照 |
健康増進法 | 国民保健の向上を図ることを目的とした法律。以下の点で関わっています。 ・栄養成分や熱量に関する表示を行う場合の基準 ・虚偽・誇大な表示の禁止 ・特定保健用食品の許可・承認 ・栄養成分の機能を表示する場合の基準 ・特別用途食品の許可・承認 |
薬事法 | 薬事法は、医薬品と食品(いわゆる健康食品)とが混同されることがないように、との観点から健康食品に関わっています。食品の一分類である健康食品に、医薬品に該当する成分を配合したり、医薬品と紛らわしい効能などの表示・広告を行ったりすると薬事法に違反します。 |
景品表示法 | 独占禁止法の特例法として、公正な競争の確保、一般消費者の利益を保護することを目的として、「景品類の制限及び禁止」「不当な表示の禁止」を規定しています。 ほとんど効果の期待できない健康食品に、「これを食べるだけで、2ヶ月間で10kg痩せられる」、などと虚偽・誇大な表示をしたり、実際には提供していない特典を表示して消費者を誘引することは、景品表示法に違反します。なお、景品表示法でいう表示とは、商品本体への表示、チラシ広告などだけでなく、テレビやインターネットによる広告も含みます。 |
JAS法 | 一般消費者の商品選択に役立てることを目的とし、食品の品質に関する表示について、基準を定めています。JAS法に基づく品質表示基準は、食品の種類によって異なりますが、健康食品の場合は、「加工食品品質表示基準」が関係する他、製品によって主に以下の基準に注意が必要です。 ・加工食品表示基準 ・遺伝子組み換えに関する表示にかかわる品質基準 ・有機農産物加工食品の日本農林規格 |
3)海外から商品を輸入するには
個人でも法人でも海外から商品を輸入して販売することは、基本的に自由ですが、輸入する品目によって法規が違いますので、しっかり理解する必要があります。
①個人輸入と業務輸入の違い
【個人輸入とは】
あくまでも自ら消費する目的で、海外から商品を輸入することを言います。個人輸入した商品は、販売や不特定多数の人間に配布することは出来ません。
※個人輸入とは、個人事業者が、輸入する事ではありません。
【業務輸入とは】
第三者に販売することを目的に海外から商品を輸入する場合は、個人・法人問わず、すべて業務輸入にあたります。輸入する品目によって、適用される法規は違います。
※ハンドキャリー(旅行に行った先で商品を手荷物として国内に持ち込む行為をさします。)も、商取引の対象となるようなまとまった量のものについては、一般の貨物と同様の輸入手続きが必要となります。
②輸入に関わる法律
商品を輸入するには、輸入したい商品が、法規制の対象かどうかが大変重要になります。 まずは、輸入を検討している商品が、「関税法」の定めるに触れないかどうかを検討する必要があります。 また、食品衛生法や薬事法などの国内法規の他、ワシントン条約など国際法規に基づいた規制、輸出国の規制など、輸入しようとする商品や国によって関わる法律が違ってきますので、事前にしっかりと調査しましょう。
PL法(製造物責任法)では、輸入品の場合は輸入業者が責任を負うと定められています。消費生活用製品安全法では、輸入した商品の欠陥による事故が起きた場合の報告義務や回収義務は、輸入販売者にあると定めています。
★「関税法」とは
関税法(昭和29年4月2日法律第61号)とは、関税の賦課および徴収、輸出入貨物の通関手続などの基礎的事項や、密輸出入の防止・関税警察などの関税行政を規定する法律。
【輸入が禁止されているもの】
以下のものについては、関税法でその輸入が禁止されています(関税法第69条の11)。
これらの禁止されているものを輸入した場合には、関税法等で処罰されることとなります。 また、植物防疫法や家畜伝染病予防法においても輸入が禁止されているものがありますので、ご注意ください。
(1)麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤及びあへん吸煙具
(2)けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
(3)爆発物
(4)火薬類
(5)化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
(6)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第19項に規定する一種 病原体等及び同条第20項に規定する二種病原体等
(7)貨幣、紙幣、銀行券又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード
(8)公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
(9)児童ポルノ
(10)特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成 者を侵害する物品
(11)不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号までに掲げる行為を組成する物品
【輸入が規制されているもの】
国内産業の保護や通商政策の目的から、一部の商品については輸入規制が行われており、これに該当する商品を輸入しようとするときは、あらかじめ輸入の割当てや承認を受ける必要があります。 ワシントン条約で規制されている物品を輸入する場合、条約で定められた輸出国の政府機関の発給する輸出許可書や、経済産業省が発給した輸入承認証等が必要です。 輸入しようとする商品に不安がある場合は、事前に最寄りの税関に問い合わせましょう。
★「ワシントン条約」とは
ワシントン条約とは、正式には「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、1973年、ワシントンで採択されたことから通称「ワシントン条約」といわれています。この条約は、国際取引によって生存を脅かされている又は絶滅してしまう恐れのある野生動植物を保護することを目的とした条約で、日本をはじめ世界の約170カ国が加盟しています。(日本は1980年批准)
動植物の多くが輸出入の規制の対象となっており、これらを輸入するには、条約で定めた機関の発行する書類(輸出国の輸出許可書、経済産業省が発行した輸入承認証など)がないと輸入できません。ワシントン条約の規制対象となるものは、生きている動植物のみならず毛皮、皮革製品及び漢方薬も含まれます。
最近、税関で輸入差止め等の多い品目は、製品では、麝香や虎骨を使った漢方薬、爬虫類の皮革製品、生きているものとしては、ランやサボテン、カメなどです。
③品目別の輸入関連法規
国内法令により、輸入通関するまでに許可、承認または検査が必要とされます。
輸入品目 | 法規名 | 関係機関 |
食品、添加物、食器、容器包装、乳幼児用玩具など | 食品衛生法 | 厚生労働省 |
化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器 | 薬事法 | 厚生労働省 |
植物、種苗、野菜、果物など | 植物防疫法 | 農林水産省 |
※( )は、アーユルヴェーダ製品の場合の一例です。
④商品の輸入にかかる費用
商品代金
決済(送金手数料)
輸送費用(海上貨物 or 航空貨物)
保険料
通関諸費用(通関料、検査料、通関手数料)
関税
消費税
国内運送料
国内加工料 など
4)品目ごとの輸入の流れ
①化粧品を輸入する
化粧品を輸入して販売するには、国内での製造、販売と同様「薬事法」に基づく許可が必要になります。まずは、輸入元から輸入したい商品の全成分をもらい、国内販売できるものかどうか検討する必要があります。
薬事法上の化粧品を輸入・販売する場合、化粧品製造販売業の許可を持った事業者がおこなわなければなりません。また、輸入しようとする製品ごとに以下の申請をおこなう必要があります。
1・化粧品外国製造販売業者届出書(提出先:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
2・化粧品製造販売届(提出先:許可所在地の都道府県)
3・製造販売用化粧品輸入届出書(提出先:関東信越厚生局あるいは近畿厚生局)
【販売する商品の表示について】
輸入販売する商品は、薬事法の適用を受け、製造販売業者名の氏名、住所、製品の名称、配合成分の名称などを日本語で明瞭に記載することが義務づけられています。
※成分の名称については基本的に全成分を表示することが必要です。また、配合量の多い順 に記載する必要がありますので、これについても輸入元から、配合量を記載した資料をも らう必要があります。
化粧品の輸入には、輸入代行を行ってくれる事業者に依頼するのが簡単です。
また、通関を自分で行うことも出来ますが、慣れていない場合は、法律の問題がありますので、通関業者に頼んだほうが良いでしょう。
②食品を輸入する
食品を輸入するには、「食品衛生法」に基づき、輸入した港を管轄する厚生労働省検疫所に「食品等輸入届出書」を提出し、食品衛生法に適合している食品かどうかの審査・検査を受ける義務があります。その際、原材料、添加物、製造工程などの書類を添付して提出する必要があります。輸入届出を行わない食品等については販売等に用いることはできないとしています。
食品衛生監視員は、以下の内容を確認し、「食品等輸入届出書」に記載されている輸出国、輸入品目、製造者・製造所、原材料、製造方法、添加物の使用の有無等をもとに審査を行います。
・食品衛生法に規定される製造基準に適合しているか。
・添加物の使用基準は適切であるか。
・有毒有害物質が含まれていないか。
・過去衛生上の問題があった製造者・所であるか。
審査・検査の結果、合格となった商品については、検疫所より「届出済証」返却後、通関を行う事ができます。不合格となった場合は、輸入貨物を廃棄、積み戻し、あるいは用途外転用などといった処分を受けることになります。
(図 食品等の輸入届出の手続の流れ 参照) 輸入前に輸入する食品に関する情報収集や検疫所への事前の相談、さらに自主検査を行っておくことによって、食品輸入のリスクを軽減することが重要です。
【事前相談とは】
本格的に輸入をする前に、食品検疫所で行っている事前相談を利用し、輸入する食品が食品衛生法に適合するかどうかを相談する事が出来ます。
(厚生労働省 輸入相談窓 http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/soudan/index.html)
★ハーブティー輸入の場合
食品衛生法に基づき、「食品等輸入届出書」と原材料、添加物、製造工程などの書類を提出する必要があります。 熱を加えず、乾燥させただけのものは、植物防疫法の規制を受ける場合があります。 海外から輸入するハーブティーの中には、日本で食用されていない植物や医薬品に相当する原材料を含んでいる場合がありますので、事前にしっかりと確認する必要があります。
また、お茶の場合は、成分規格として農薬の残留基準が設定されています。 販売時には、JAS法の品質表示基準に基づき、名称、原材料名、原料原産地名、内容量、賞味期限、保存方法、原産国名、製造者(輸入者)などの表示義務があります。
★スパイス輸入の場合
植物防疫所へ「輸入植物検査申請書」に、輸出国の植物防疫機関(Ministry of Agriculture, Plant Protection Service)が発行する「植物検疫証明書」(Phytosanitary Certificate)等の関係書類を添付して提出し検査申請を行います。検査の結果、病害虫等が付着していることが判明した場合には、くん蒸、消毒等の措置を必要とします。
なお、乾燥した状態で小売用の容器に密封されているものは、輸入植物検疫規程により植物防疫法の検査対象外となっています。 また、厚生労働省検疫所輸入食品監視担当へ「食品等輸入届出書」を届け出る必要があります。検疫所における審査・検査の後、食品衛生法上問題がなければ、届出書に「届出済」印が押捺され、返却されます。
★健康食品を輸入する場合
健康食品を輸入しようとする場合、まず原材料が何であるかを知る必要があります。海外の仕入先から「原材料配合表」を入手し、該当成分か否かを調べます。
「医薬品リスト」に掲載されていれば医薬品として判断され、「非医薬品リスト」にある場合は下記の条件を基に、食品として判断されます。
条件とは、
(1)医薬品的な形状をしていない
(2)医薬品的な効能効果を標榜していない
(3)医薬品的な用法用量を標榜していないことです。
医薬品か食品かの判断が難しい場合は、各都道府県の薬務担当部署に確認します。
どちらのリストにも掲載されていない場合は、医薬品に該当するか否かの判断がされていない原材料ですので、各都道府県の薬務担当部署へ問い合わせることになります。
「非医薬品リスト」に掲載されている原材料であっても、上の条件なども含め最終的には各都道府県の薬務担当部署で確認をとっておくと良いでしょう。
輸入販売しようとする健康食品やサプリメントの原材料がすべて食品として確認できると、食品衛生法に基づき厚生労働省検疫所により衛生上の安全チェックを受けることになります。輸入通関の前に厚生労働省検疫所に「食品等輸入届出書」を提出します。このときは通常「原材料配合表」と「製造工程表」及び「食薬区分における成分本質(原材料)などの確認書」を添付することになります。
また添加物は、外国で使用が許可されていても、日本では使用が禁止あるいは使用基準が違うなどの理由で、輸入ができない場合もあります。実際に輸入する前に、「原材料配合表」と「製造工程表」をもとに、添加物の使用方法が適切であるかなどを調べ、さらに厚生労働省検疫所に相談することをお勧めします。また厚生労働大臣の登録検査機関で自主検査を行い、その検査成績書を入手しておくと良いでしょう。
販売時の表示は、JAS法、薬事法などによって規制されています。原材料にアレルギー物質、遺伝子組み換え品が含まれる場合には、その表示も義務付けられています。
図 食品等の輸入届出の手続の流れ
④その他 雑貨
雑貨などの場合は、輸入するにあたって特に規制がないものが多いのですが、製品の種類特徴によっては届出が必要な場合がありますのでご注意下さい。 例)アロマオイル、エッセンシャルオイルは、芳香剤として香りを楽しんだり、浴用芳香剤として使用する場合は、雑貨としての輸入が可能で、特に規制はありません。 但し、肌に塗布したり、その効果効能を謳った場合は、化粧品に該当し薬事法に基づく手続きが必要になります。
5)輸入関連用語
用語 | 解説 |
FOB | FOBとは「本船渡条件」のことで、貿易の取引条件として広く使われています。 売主が本船に積み込むまでの諸経費を負担し、それ以降の海上輸送運賃などは、買主が負担します。この場合、船運賃と荷物の保険料、買主のもとまでの各種手続き、作業料は含まれません。売主は、国内輸送費、輸出検査費、輸出梱包費、輸出通関費、船積費などを負担します。 買主は、海上輸送の船舶を決定する権利があり、その運賃を負担することになります。海上貨物保険も買主の負担となります。 売主が買主の指定する船舶に貨物を積み込むまでは売主の責任となり、それ以降は所有権が相手側に移ります。 |
CIF | CIFとは、貿易取引条件の一つで、貨物代金には到着港までの海上運賃と、貨物保険料が含まれます。 売主のもと(輸出地)から、買主のもと(輸入地)までの運賃・保険・各種手続き、作業料を加算したものを契約価格とした契約。 |
インボイス | インボイスとは請求書のこと。主に輸出入を行うときに使用し、約定品の出荷案内書、物品明細書、価格計算書、代金請求書を兼ねた商用書類で、売主が買主宛に作成します。 |
AWB | AWB(航空貨物運送状Air Way Bill)とは、貨物の運送の際に荷送人(荷主)が航空会社(運送業者)に提出する証券のことです。 IATA(国際航空運送協会)の統一様式があり、それを航空貨物代理店が作成して航空会社に提出していますが、あくまでも荷送人の代理としておこなっています。 AWB(航空貨物運送状)の主な役割は下記があります。 運送契約締結の証拠書類。貨物の受領書。運賃・料金などの請求書。保険の証明書(航空会社の荷主保険が付保された場合)。税関申告の書類。会計処理用書類。航空会社に対する荷送人の指図書。 |
BL | BL(Bill of Lading)とは、船荷証券のことです。 船積みされたときに、船会社から交付される積荷の所有権を書面化した有価証券。 この書類がないと船会社から貨物を受け取ることは出来きません。航空便では似たような機能を持つ書類として、AWB(航空貨物運送状)がありますが、それは有価証券ではなく、証拠証券(単なる証明書)です。 |
INCI | INCIとは、国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)の略で「インキ」と読みます。「INCI 名」とは、INCIのルールに基づき、PCPC(Personal Care Products Council。旧CTFA)が公表している化粧品成分の国際的表示名称のことです。INCI登録されていない原料は、化粧品に使うことはできません。 |
特恵関税制度 | 特恵関税制度とは、開発途上国又は地域を原産地とする特定の輸入品について、一般の関税率よりも低い税率を適用して、開発途上国又は地域の輸出所得の増大、工業化の促進を図り、経済発展を推進しようとするものです。 (インド、スリランカも特権関税制度対象国となっています。) なお、この特恵関税率の適用を受けるためには、原則として、特恵受益国が発給する「特恵原産地証明書」が必要となります。(総額が20万円以下は不要) |
<関連機関>
税関 (輸出入手続き) http://www.customs.go.jp/tsukan/index.htm
経済産業省(ワシントン条約) http://www.meti.go.jp/
厚生労働省(薬事法) http://www.mhlw.go.jp/
厚生労働省(食品衛生法)
厚生労働省(食品衛生法に基づく輸入手続き)
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tetsuzuki/index.html
6)まとめ
今後、アーユルヴェーダがより多くの人に理解され健全に普及してゆく為に、アーユルヴェーダ製品を製造、輸入、販売する上で、使用目的や内容により関係する法令を理解し、法規に基づいた手続きを行い、さらなる普及に努めていただければ幸いです。